フランチャイズと個人経営の違いは?
訪問マッサージで開業したいと思っているときに、有名なフランチャイズに加盟しようか、個人経営で独立しようかと悩むことは珍しくありません。どちらもあまり変わらないのではないかと思っている人もいるかもしれませんが、実際に開業してみると雲泥の差があるので注意しましょう。
違いを明確にして自分に合っている方を選ぶのが賢明です。
独立や独立後のサポートについての違い
訪問マッサージの仕事を独立して始めたいと思ったときに、まずは何をしたら良いのかわからないという人もいるでしょう。開業のためには個人事業主として手続きをしなければならず、その前にどの場所を事業所として登録するかを決めたり、開業資金を獲得したり、事業計画書を作成したりする必要が生じます。
独立してからもいかにして営業活動をして顧客を獲得するかを考え、試行錯誤をしながら顧客を見つけつつ維持を図らなければならないでしょう。さらに、会計や経理の業務も発生するのが独立して経営者になったときの特徴で、治療院などで働いていたときには経営者や他の事務スタッフがおこなってくれていた業務を自分でやるのが基本です。
収入や支出に関する帳簿を作り、年度末には確定申告をする義務も発生します。それに付随して医療や介護としてサービスを提供する場合には保険請求をする必要も生じるでしょう。
このように独立してからは多様な業務をうまくこなしながら、訪問マッサージ師としてサービスを提供して対価を手に入れていかなければなりません。個人経営の場合にはこの全てのプロセスを自分一人でおこなわなければならないのが一般的です。
訪問マッサージに限らず、さまざまな業種や職種の独立開業サポートや運営サポートをしている企業もあるので、そのサポートサービスに申し込んで不足を補うこともできるでしょう。しかし、そのサポートを受けるかどうか、どの会社のサポートをどんなプランで受けるかも自分で決定しなければなりません。
これに対してフランチャイズの場合には一般的にはフランチャイザーからの全面的なサポートを受けて独立準備を整えることができ、独立後も多角的なサポートを受けられます。どのフランチャイザーを選ぶかによって受けられるサポート内容にも違いはありますが、独立前であれば事業所として登録する物件探しや、宣伝広告のためのウェブサイト制作、名刺や広告の作成などをサポートしてもらえることがほとんどです。
さらに、独立前にセミナーを開催して成功するための秘訣を伝授してもらえたり、会計業務などの基礎を教えてくれたりすることすらあります。独立してからも希望に応じてサポートを受けることが可能で、集客がうまくできていないときには集客代行を依頼し、保険請求で戸惑っている場合には代行してもらうといった形で有効活用が可能です。
また、フランチャイジーになると独立するときに決めなければならないマッサージのメニューや料金体系について提案を受けられます。きっちりとメニューと料金が決まっているケースもありますが、マッサージ師としての技術力や経験、活動するエリアでのニーズなどに応じて調整できることも少なくありません。
さらに、技術的に不足している部分があったり、もっと高いレベルで施術をおこなえるようになりたいと思っていたりする場合には、研修を受けられることもあります。一般向けに公開されている研修のことが多いものの、その費用負担が軽減されたり、優先して参加権を与えてもらえたりするのが通例です。
このような多様なサポートを受けられることで、スムーズに独立したうえで、さらに円滑に事業を展開していけるようになるのが特徴です。
訪問マッサージ業務の自由度の違い
フランチャイズで独立すると多角的なサポートを受けられる魅力があるものの、フランチャイザーのブランドの傘下に入らなければならないことで自由度が下がるという問題もあります。
基本的に個人経営の場合には事業に関して誰からも口を挟まれることもなく、自由に事業を展開することが可能です。治療院としてオリジナルのロゴを作って宣伝することも、自分なりの名前を付けることもできるでしょう。
しかし、基本的にはフランチャイジーになるとフランチャイザーのロゴを使用し、屋号にもフランチャイザーが指定する名称を盛り込まなければなりません。自由度が低いという問題こそあるものの、この点では実はメリットもあります。知名度が高いフランチャイザーのロゴや名称を使用できるのがメリットで、すぐに利用者から信頼できる訪問マッサージサービスだと思ってもらえる可能性が高くなるのです。
無名で実績もないマッサージ師に依頼するよりは、名前がよく知られているお店のマッサージを依頼したいと思うのが一般的な考え方でしょう。消費者がたとえフランチャイズかどうかということを知らなかったとしても、ネームバリューが高い名前が屋号に入っているだけで信頼できると思ってくれます。このような円滑に宣伝広告をして信頼を獲得できるというメリットもあるのは念頭に置いておきましょう。
一方、事業内容についてもフランチャイズの場合には束縛されてしまうことになるのが通例です。マッサージのメニューとしてニーズが高いものや料金体系として相場に見合ったものを提案してくれるのは確かですが、あくまで形式として提案ではあってもほぼ強制というのが一般的になっています。
そのため、自分はこのマッサージサービスを強みにして事業を展開していきたいと主張しても、フランチャイザーとしては別のサービスを根幹に置いているので認められないと言われてしまうこともあるのです。メニューや料金に関する自由度がどのくらいあるかはフランチャイザー次第で、契約のときには十分に確認しておかなければならない点でしょう。
しかし、フランチャイザーの方針と自分の考え方が合っているなら特に束縛を受けるという印象を持つことはなく、むしろ市場でのニーズについての情報を提供してくれる魅力的なサービスだと考えられるのが通例です。
開業や運営にかかるコストの違い
個人経営とフランチャイズではコスト面にも違いがあります。フランチャイザーから多様なサポートを受ける代わりにロイヤリティーを支払わなければならないのがフランチャイズの基本ルールで、その分だけ個人経営に比べると費用負担がかかるでしょう。
しかし、フランチャイザーから受けているサポートを他の業者に外注するだけでロイヤリティーよりも高いコストがかかってしまうことも少なくありません。また、資材の調達をするときにフランチャイザー経由にすることで安くできることもあります。そのため、トータルとして見ると個人経営でもフランチャイズでもあまりコスト面には違いが生じないことが多いというのが実態です。
フランチャイズと個人経営で大きく異なるのはサポートの有無と自由度の高さです。個人経営では自分で全ての業務を責任を持っておこなわなければならないのに対し、フランチャイズの場合にはフランチャイザーから多角的なサポートを受けられるというメリットがあります。
ただ、フランチャイジーになることで束縛を受ける面もあるので自由に事業を展開したいなら個人経営の方が良いでしょう。コスト面ではトータルで見るとあまり違いはないので、どんな形で開業したいかをよく考えて決めるのが大切です。