フランチャイズ店として成功するために、ロイヤリティの仕組みを知ろう!
国家資格であるあん摩マッサージ指圧師の免許を取得するとマッサージ店を開業する資格を得ることができますが、ビジネスとして軌道に乗せるため訪問マッサージのフランチャイズに加盟するケースが増えています。
そこで、フランチャイズに加盟すると必ず発生する「ロイヤリティ」の仕組や、不明瞭な部分について掘り下げてみました。
もくじ
そもそもフランチャイズとは何か
フランチャイズとは、「フランチャイザー」と呼ばれる本部と「フランチャイジー」と呼ばれる加盟店が契約を締結することで、フランチャイザーの持つブランド名の使用権や商品、サービスの販売権が得られるビジネスシステムです。
元々はアメリカで開発されたシステムで、1963年に外資系飲料メーカーが日本で初めて導入しました。その後チェーンストア業界などが積極的に導入を進めていましたが、一般的にその名前が知られるようになったのは、1970年代のコンビニエンスストアの普及によるものと言われています。
フランチャイズを利用したビジネススタイルは、ブランド名をバックにしていることから個人で開業するよりも成功率が高く、現在ではスーパーやコンビニエンスストアを始めとして飲食店や家電量販店、カー用品店など幅広い業界で採用されています。
ただし、フランチャイズ店はブランド名を背負っていますが、フランチャイザー本部に雇用されている訳ではありません。あくまでも個人事業主による独立した店舗であるため、フランチャイザー本部の「支店」ではないことを理解しておく必要があります。
フランチャイズとは切っても切れないロイヤリティ
フランチャイズで独立開業する場合に必ず必要になる費用がロイヤリティで、他の業種と同じように訪問マッサージ業でもフランチャイザー本部に支払う義務が毎月発生します。ブランドの看板のある店とない店では利用者が受ける印象も全く異なるため、集客にも大きく影響することから当然売り上げも大きく変わってきます。
このため、ブランド名があることによって得られたプラス部分に対して、売り上げの何パーセントかをフランチャイザー本部に支払い還元することがその仕組みです。売り上げに対してのパーセンテージはそれぞれの業界によって異なり、飲食店の場合は3~10パーセント、コンビニエンスストアの場合は30~70パーセントとかなり開きがあることが特徴で、訪問マッサージ業界の場合は飲食店と同様の3~10パーセントが一般的となっています。
この費用を支払うことにより、業務上のノウハウなどの情報も活用できるようになるため、店舗経営の未経験者などが独立開業する上で、失敗するリスクを格段に回避できる仕組みとなっています。
ロイヤリティにはどのような種類があるのか
フランチャイズのロイヤリティは業種や運営会社、提供されるプランによって大きく3種類に分けることができます。
一つ目は「粗利分配方式」と呼ばれるもので、加盟店の売り上げにする粗利益の何パーセントかを本部に支払うタイプで、主にコンビニエンスストアがこのタイプを採用しており、他の業種ではあまり見かけることはありません。
二つ目は「売り上げ歩合方式」というもので、売り上げ金額に対してパーセンテージが設定されます。加盟店の利益とは関係なく徴収できることが特徴で、最も多く採用されている方式です。訪問マッサージ業界でもこの方式を採用している会社がほとんどで、ブランド力やサポートの内容によってパーセンテージが高くなる傾向にあります。
三つ目は「定額方式」で、毎月決まった額を本部に支払います。主に飲食業界で採用されており、支払額が一定であるため資金管理がしやすく、売り上げが多い場合は加盟店側の利益も大きくなるというメリットがありますが、その反面、売り上げが少ない場合は資金を圧迫してしまうというデメリットもあります。
ロイヤリティを支払う理由と契約加盟料の関係
なぜ毎月支払う必要があるかという理由は、加盟店は「フランチャイザーが提供しているサービス」などを「フランチャイザーの名前」で「フランチャイザーが作った経営ノウハウを基に経営・販売」して利益を得ているからによります。
フランチャイザー本部は広く知れ渡っているブランドの名前や、すでにマニュアルが確立している経営ノウハウなどを加盟店に提供します。それらを上手に使うことで、加盟店の経営者は売上を上げ、安定した収益を確保できるといった多くのメリットがあります。
個人で開業した場合は、これらのことは全て自分で行わなければならないため、提供された「特典」の対価として支払う義務が生じます。
また、本部はノウハウを提供するだけではなく、定期的に加盟店を訪問して、運営についてアドバイスをするなど加盟店の経営がうまくいくようにサポートなども行います。中には支払い義務がない0円のフランチャイザーもありますが、その場合はサポート料や技術提供料などが別途発生するスタイルになっていることが多くなっています。
ロイヤリティを支払うメリットとは
フランチャイザーにロイヤリティを支払っても加盟店になるメリットは数多くありますが、何と言っても事業のリスクを低減することが挙げられます。集客には宣伝やキャンペーンなどの本業とは別のエネルギーを費やさなければなりませんが、これらのことほぼ全てをフランチャイザー本部が請け負ってくれますので、本業に集中できることがメリットと言えます。
また個人で開業した場合は孤独になりがちですが、加盟店になることで他の訪問マッサージ加盟店のオーナーと交流が生まれるため、成功事例を学ぶことができたり、営業上工夫したポイントや悩みを相談できるなどお金では買えない価値を得ることができます。そのため、定年後にあん摩マッサージ指圧師の資格を取得し起業するケースが多い訪問マッサージ業界など、全く経験のない分野でも独立開業が可能になることが大きなメリットです。
他にも、税務や会計などに関する知識がない場合でもサポートが受けられるため、慣れない確定申告などもスムーズに行うことができるといったこともメリットのひとつと言えるでしょう。
支払われたロイヤリティの使われ方
ではフランチャイザー側では加盟店から月々支払われるこれらの費用をどのように使用しているのでしょうか。単純に加盟店売上金として利益計上している企業もあるかもしれませんが、多くの場合は加盟店に対する人件費や自社の技術向上のための研究費、マッサージに必要な物品の手配などに充てるなど、フランチャイザーと加盟店の双方が、円滑に事業を展開できるための費用として使われています。
具体的には最新の出張マッサージ業界の情報収集とその提供や開業資金の融資や赤字補てん制度などのサポート費用、開業前の研修費用、フランチャイザーの訪問費用、新規店の広告宣伝費などがあり、加盟店側では月々支払ってはいるものの、その多くは自らの運営サポートに反映されているとも言えます。
フランチャイザー側でも、契約締結時のフランチャイズパッケージを改良することで更に新規加入店を増やすことに繋がるため、経営を圧迫することがなく最適な経営状態で維持・運営できるようにパーセンテージや契約料金などを随時見直して設定を行っています。
このように、個人で開業するよりもフランチャイズに加盟することは訪問マッサージを始めるに当たってとてもメリットがあります。月々支払うロイヤリティですが、結果的に自分の事業のためになることに使われているため決して無駄にはなりません。新たに訪問マッサージを始めるならフランチャイズ加盟を検討してみてはいかがでしょうか。