訪問マッサージはどんな人を対象に行うの?対象となる症状・状態とは
「訪問マッサージ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。「自宅にマッサージに来てもらおう」という気軽なものではなく、医療保険を利用したサービスです。今回は、訪問マッサージの対象となるのはどんな人か、当てはまる症状や状態についてご紹介します。「対象になるかも」と思われた方はぜひ参考にしてください。
訪問マッサージはどんな人に行うもの?
訪問マッサージを受けるためには、定められている利用条件を満たす必要があります。また、施術を受けられる部位や方法にも決まりがあります。訪問リハビリと似ていますが、目的や施術できる人が違うのが特徴です。
訪問マッサージとは
訪問マッサージは、国家資格の「あん摩マッサージ指圧師」を持った施術者が通院困難な患者さんの自宅に直接訪問してマッサージを行うことをいいます。ただ「行くのが面倒だから自宅に来て欲しい」というだけでは利用できず、寝たきりの状態であったあり歩行困難であるなど身体が不自由なため通院できない方のためのものです。
医療保険が適用になるため、利用には医師の診断書が必要になりますし、きちんと届け出を出したあん摩マッサージ指圧師のみ行えるサービスです。実際には別物ですが「訪問リハビリのマッサージ版」と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
施術方法と部位が決まっている
訪問マッサージで行えるのは「マッサージ」と「変形徒手矯正術」の2種類の施術方法です。マッサージは一般的なものと同じく身体をさすったりもんだりして新陳代謝を上げる目的で行うもので、躯幹、左右上肢、左右下肢の5部位が対象となります。
変形徒手矯正術は、関節可動域の拡大、筋力増強の促進および症状の改善を目的としたものです。体幹を除いた肩、肘、手、股、膝、足それぞれの関節の6部位が対象となります。
リハビリとどこが違うの?
訪問リハビリとの違いがわかりにくいかもしれませんが、訪問マッサージの目的は通院困難な患者の関節の動きや疼痛の改善や、筋力の向上です。対して、訪問リハビリは在宅での日常生活において自立を促し、患者を社会参加に導くことを目的に行います。
訪問リハビリでは理学療法士、作業療法士が行い、基本的には介護保険が適用になる点が大きく異なります。
訪問マッサージの対象となる症状
基本的には身体に不自由を感じる全ての人が対象になります。病気・診断名によって適応されるわけではなく、かかりつけ医の同意が得られた方は利用可能です。逆に自己申告だけでは利用できません。
対象の症状を有する利用者には高齢者が多いですが、利用に年齢制限があるわけではありません。
具体的な症状
筋麻痺・筋萎縮(麻痺によって体の筋肉が動かない状態、筋力低下した状態)、関節拘縮(関節の可動域に制限があったり、関節機能低下の状態)が当てはまる症状です。これらの症状があり、公共交通機関を使っての自力通院が困難な方が訪問マッサージの対象となります。
「自力通院が困難」というのは身体的要因だけでなく、人とのつながりや経済状況などの社会的要因も含めて公共交通機関を使っての自力通院が難しい方が対象となります。
訪問マッサージの対象となる病気
先ほども触れたような「筋肉や関節が動かない、動きにくくなる」病気が対象となります。多岐にわたるので、対象になる状態かどうかは専門家に判断してもらいましょう。以下、具体的な病名です。
・脳血管障害による後遺症・片麻痺
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの後遺症によるものです。
・パーキンソン病などの神経難病
パーキンソン病、パーキンソン症候群
進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症、脊髄小脳変性症
重症筋無力症、多系統萎縮症(MSA)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、球脊髄性筋萎縮症
原発性側索硬化症、多発性硬化症/視神経脊髄炎などが挙げられます。
・廃用症候群
寝たきり、認知症(アルツハイマー型、レビー小体型)などで、過度に安静にすること、活動性が低下したことによって身体に様々な状態が生じることを指します。
・脊髄損傷
頸髄、胸髄、腰髄などを損傷して身体が動かせなくなった状態です。
・脳性麻痺
痙直型、アテトーゼ型、混合型、固縮型、失調型といった各種の脳性麻痺です。
・その他
筋ジストロフィー、黄色靱帯骨化症、後縦靱帯骨化症 、慢性再発性多発性骨髄炎、強直性脊椎炎、変形性膝関節症などに加えて心筋梗塞、大腿骨骨折後、歩行困難、筋力低下、痛み、リンパ浮腫など一時的な状態であっても適応になることがあります。
まとめ
訪問マッサージについて、対象となる人はどんな人か、症状や状態を具体的にご紹介しました。医師が必要と判断した通院困難な患者に対して行われる、関節の動きや痛みの改善目的の施術です。
医療保険が適応になりますが、利用には条件を一定の満たす必要があります。病名を診断されなくても症状があり、医師の同意が得られれば利用可能です。患者にとってQOL向上のためにも、適応になる方は訪問マッサージの利用を検討してみてください。